
本日は第44回上田高等学校吹奏楽班定期演奏会においでいただき、まことにありがとうございます。
吹奏楽は校内ではとても大所帯です。個性豊かないろいろな楽器があり、それを演奏する生徒たちの性格も千差万別です。これほどの雑多さがあって、吹奏楽班はどうしてこんなにまとまっているのだろうと思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、これは人間のどのような集まりでも同じだと思いますが、最初から音楽的にも集団としてもまとまっている高校生の楽団なんてないと思います。また、いろいろな個性があって「まとまっていないこと」が後の成長を約束します。
まとまらずに大変なこと、苦しいことが、人間が集団でおこなう活動の、すべての前提なのだと私は信じています。
班活動で生じるあらゆる不一致や葛藤があるからこそ、課題を解決するための方法を模索し、相手のことを思いやったり、自分の姿を見つめ直したりすることで、信頼や尊敬など人の結びつきを強くする感情を学びとり、そこに自立と人間的な成長がもたらされます。これこそ高校のあらゆるクラブ活動がもっとも大切にしなければいけない活動の目的そのものであり、生涯にわたって生き方を支える確信のようなものです。
生徒諸君は青春が与えるあらゆる困難を克服しつつ音楽に臨みますが、そこに奏でられる音の美しければ美しいほど、彼らが乗り越えたものの素晴らしさははかりしれない。
これほど個性的で多様な67人の若者が、心をそろえて音楽を奏で、人に思いを伝えたいという一事に、かくもひとすじに、一心不乱に集中しているという事実こそ、音楽の魅力がなせる不思議なのです。
本日ご来場の皆さまには、最後まで演奏を楽しんでいただきますとともに、班員諸君の日常にも思いを馳せていただきたく存じます。
がんばれ、上田高校吹奏楽班。
(パンフレットのごあいさつ ちょっと短くした)

Posted by 長野県長野高等学校長 at
20:30